君たちはどう選ぶか～物理の問題集選び『重要問題集』VS『名問の森』～

２学期に入りました。理科の対策を本格化させた受験生も多いことでしょう。この時期、２次私大対策の問題集選びで相談を受けることが多いです。

よく聞かれるのが、『重要問題集』（数研出版）と『名問の森』（河合出版）のどちらがいいですか？というものです。

最近の受験生は、情報リテラシーが高いので、この２冊に候補を絞ってくる場合が多い。どちらも受験生の強い支持があるよい問題集です。

では、この２冊を選ぶにあたり、どのような着眼点を持てばよいのでしょうか。

この二つの問題集、対比させると、次のような違いがあります。
キーワード的に表現すると、

『重要問題集』・・・堅実、オーソドックス、網羅的、実践的

『名問の森』・・・独創、オリジナリティ、重点的、教育的

といったところでしょうか。

この観点からの受験生とのマッチングは次のようなものでしょう。

『重要問題集』が向く受験生は、
九州大学前後の偏差値帯を志望している人で、物理は不得意ではないが、得意科目でもない・・・そんな感じの受験生です。
『重要問題集』は、オーソドックスな問題のセレクションが魅力で、必要最小限の演習を確保するには最適な問題集だと思います。
解説は充実しているとは言えない面がありますが、質問ができる環境で使うメリットは、大きいです。多くの受験生が向くという意味で無難な選択となります。

一方、『名問の森』が向く受験生は、
九州大学の難関学部以上の偏差値帯を志望している人で、物理を得点源としたい受験生です。

執筆者の浜島先生は、河合塾の物理科講師を長く務められた先生です。物理の予備校講師は、奇をてらった指導をする先生が多い中、王道の解説をされる先生です。
ただ、浜島文学とも言える解説は一定の理解のベースが必要です。そのため、ある程度の実力がないと使いこなせない問題集でもあります。
効果的という点では、読者を選んでしまう部分がありますが、物理が得意な受験生にはおすすめの問題集とも言えます。

昨今は、参考書ルートなどの言葉が一人歩きする傾向にありますが、問題集の選択は人それぞれですので、巷の「常識」にはとらわれずに、周囲の先生のアドバイスも生かしてベストな選択をしてほしいかなと思っています。