
国公立大学医学部(医学科)入試はどうして難しいのか(その2)
国公立大医学部医学科(以下医学部)の入試がなぜ難しいのかを解説しています。今回は2回目です。
前回は、模試でE判定を抜け出すことの大変さを書いています。
今回は、医学部入試における「共通テスト対策の難しさ」について書いてみます。
センター試験が共通テストに衣替えして、大きく変わったことの一つが、医学部に合格するための得点率です。
センター試験時代は、90%前後が目安の数字でしたが、
共通テストになって、80%強以上の数字に変化しています。
一見すると、センター試験時代の方が大変そうに思われますが、それは全く違います。
共通テストになって大きく変わったのは、理系教科が非常に得点しにくいテストになったことです。
センター試験時代は、理系教科の平均点が10点前後動いたとしても、
医学部に合格するレベルの受験生は、比較的難なく9割に到達していました。
センター試験は、基礎力をチェックする問題が多く出題されていましたので、
上位層にはどのような問題が出てもそれなりに対応ができたのです。
ところが共通テストになり、理系教科は、一気に難化しました。
これらが得意な受験生でも共通テストで90%前後の数字をとることは至難の業です。
理科の場合、扱う内容も高度化しています。
2次試験向けのネタが共通テストで出題されることはザラですし、
2024年度の化学で出題された質量分析法は、予備知識がほぼない状態で、化学的な考察力で解かせる問題でした。
そのため、非常に対策が難しいテストになっているのです。
また、別の側面からも難しさが見えてきます。
それは、全体の数字として80%超の数字をとるためには、文系教科も落とせないことを意味するからです。
英語は、大量の英文を短時間で読む能力が求められます。英語を得意とする受験生でも、一定の演習量を積んで大問ごとの時間配分を考え、共通テスト特有の出題パターンに慣れておかないと、高得点を取ることは難しくなってきています。
国語も、共通テストになり、センター試験時代のようにはスコアできなくなっています。また、1問あたりの配点が高く、失点のダメージが大きく、神経を使うテストでもあります。
社会も共通テストで高得点を取るためには、センター試験時代よりも勉強量が必要です。
また、来年度以降は情報Ⅰの難易度が上昇することが予想されます。
つまり、現在の共通テストにおいて、理系教科で貯金をして、80%超の数字を確保するのが大変難しくなっただけでなく、文系教科も高い得点が求められるのです。
国公立大の医学部に合格するには、高度なオールラウンダーである必要があるのです。
今の時代、医学部に合格するためには、戦略的に受験勉強を進めていく必要があります。
国公立大の医学部入試は、かつてのようなアプローチでは、合格することは非常に困難であることを日々意識させられる厳しい入試になっているのです。